少し前の記事ですが,このようなものがありました。
千葉市受動喫煙防止条例 半年 違反135店に改善指導 ライン通報は450件
飲食店を原則、屋内禁煙とする千葉市受動喫煙防止条例の施行から今月で半年が経過した。罰則の適用はなかったが、市は同条例違反などの飲食店135店を確認し指導を実施。
同条例施行と同時に運用を始めた無料通信アプリ「ライン」の受動喫煙SOSシステムには約450件(9月末現在)の情報が寄せられた。
千葉市は,改正健康増進法施行と同じタイミングで,受動喫煙防止条例を施行しました。これは改正健康増進法より一歩進んで,従業員がいる場合,喫煙可能室を設置できないことになっています。東京都などと同様ですね。
この記事のさらに詳しい内容に興味があったので,情報公開請求をしたところ,いろいろデータをいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
まず,市が民間に委託して,本年6月4日から7月6日まで3595店舗を調査したそうです(閉店した店舗を除く)。
改正健康増進法において,飲食店内に喫煙エリアを設ける場合,店の出入口に標識を掲示する義務があります。
そこで外観状況を調査したところ,38.3%(1377店舗)で標識がなかったとのことです。
この1377店舗は標識がない以上,禁煙であるはずです。
店内に喫煙エリアを設ける場合,改正健康増進法においてはお店の出入口に標識を設ける必要があります(詳しくはこちら)。禁煙の場合,改正健康増進法上は標識不要であり,何も標識が無いのは禁煙店の証というのが法律の態度でるためです。
しかし,この1377店舗を調査したところ,うち9.2%(126店舗)が喫煙環境ありであったということです。
さらにそのうち83.3%(105店舗)は,お店全体が喫煙エリアであったということです。
よって,この126店舗は明らかに改正健康増進法違反です。
そして,標識がないので禁煙店だろうと思って入ってみたら,お店全体で喫煙可能であったというtrappedな店舗が105店舗あったということです。
なお,記事において違反店舗が135店舗あったというのは,上記の喫煙エリアがあるのに標識を出していなかった店舗が126店舗,従業員がいるのに喫煙可能店標識を出していたの店舗が6店舗のほか,たばこ小売販売許可がないのに喫煙目的店を名乗っていた店舗が3店舗ということです。
いずれも市当局からの指導がなされたということです。
改正健康増進法を一行で説明すると「禁煙」or「20歳未満立入禁止と出入口に掲示」ということであり,掲示の有無がいちばんのポイントになるわけです。
千葉市の調査では,店全体が喫煙エリアであるのに標識を出していなかった店舗が,標識がない店舗のうち,8.9%を占めることになります(105/1177 営業時間外等で確認できなかった店舗は分母から除く)。
つまり,標識がないので禁煙だろうと思って入ってみたら,店全体が喫煙エリアでしたという店舗に出くわす確率は,千葉市内で8.9%ということになります。
千葉市は都市部でありまた独自条例が定められていることから「意識高め」の自治体であり,改正健康増進法の遵守状況としてはおそらく守られている方だと言えると思います。
ということは,日本全体で考えると,標識がないので禁煙だろうと思って入ってみたら,店全体が喫煙エリアでしたという店舗に出くわす確率は8.9%よりも高いということになるでしょう。
ライン通報の内容は次回でお届けします。