2020.11.23 改正法について 記事より

やっぱり行政による指導が有効?(千葉市の調査より その2)

前回に続いて,千葉市の調査結果の考察を続けます。
千葉市は,受動喫煙防止条例施行と同時に,LINEその他で受動喫煙SOSシステムを始めたようです。
「改正健康増進法」と「千葉市受動喫煙の防止に関する条例」による規制の実効性を高めるため,市内で生じた法令違反による受動喫煙の被害に関する情報を受け付ける窓口です。

市自らこうした窓口を設けてくださるとは,たいへん素晴らしいことだと考えます。
その通報状況についても施行日から半年間のデータをいただいたので整理します。

まず通報の媒体ですがLINEが過半数。

 

次に受付月です。施行直後が多いのは当然として,けっこう毎月コンスタントに通報があるようです。

 

で,通報された違反の内容です。

 

やはり禁止場所での喫煙が多いですね。これに煙や臭い漏れが続きます。

その違反の場所ですが,屋外が66.4%,屋内があわせて31.5%を占めます。

 

屋外については、原則的に禁煙にしなくてはいけないという規制はありません。
しかし、喫煙可能にする場合、出入口や道路の近くを避けるなど、受動喫煙が生じないよう配慮しなければならないとされています。

屋内は,そこが2人以上の者が出入りする限り原則禁煙です。よってほぼほぼ違反と考えてよいでしょう。

その施設区分は次の通りです。

 

飲食店以外の第二種施設が半数を占めます。飲食店も3割程度を占めますが,ちょっと意外な結果でした。
というより,屋内の喫煙可の例外が設けられているのは,もっぱら飲食店のための特例であり,飲食店以外の屋内で,受動喫煙が生じるような環境で喫煙がなされていたら,まずもって健康増進法違反であると考えてよいでしょう。

そのうえで,実際に法令違反が認められた行為について,行政が指導を行った場合に,どれほど改善がなされたかのデータです。

このデータをどう読むかですが,吸っちゃだめな場所で吸えるようにしている系は,7割程度と高い確率で改善がなされており,行政による指導が有効であることが分かります。
ただ屋外での配慮義務違反は(件数は多いのに)ちょうど半分と残念な結果です。
いずれにせよ,もともと知らなかっただけということもあるでしょうから,お店に適切に情報を伝えるというのが有効なのでしょう。

今般,千葉市が調査をしてくださったおかげで,本年4月1日の施行日以降の状況を知ることができ,たいへん有意義でした。
千葉市のご英断に感謝します。
その他調査した自治体などがありましたら,是非データを拝見したいと思っています。

藤原 唯人(ふじわらただと)

本サイト作成者 弁護士 藤原 唯人 (ふじわら ただと)

プロフィールはこちら

兵庫県弁護士会所属(2000年登録)
神戸パートナーズ法律事務所
(神戸市中央区)にて執務
http://www.kobepartners.net/
日本タバコフリー学会会員