2021.3.19 改正法について 記事より

「喫煙目的施設」が増えている?

もうすぐ改正健康増進法施行から一年。
そんな中、最近「喫煙目的施設」を利用した業態が増えているようです。

たとえばこの記事。

全席喫煙可能な喫茶店「THE SMOKIST COFFEE」が話題に

ここで改めて「喫煙目的施設」を確認すると、
施設を利用する者に対して、喫煙をする場所を提供することを主たる目的とする施設
をいいます。詳細はこちら。(※)

もう少し要件があり、
・タバコの対面販売(出張販売を含む)をしていること
・屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とし
設備を設けて客に飲食をさせる営業を行うものであること。ただし、通常主食と認められる食事(米飯類、パン類、麺類、ピザ、お好み焼きなど)を主として提供する場合を除く
ということになっています。

もともと、「喫煙を主たる目的とするバー、スナック等」として、お酒を飲むところが想定されていました。

しかし、喫煙可能室のような広さ制限がなく、タバコの出張販売をしてもらうといってもその頻度について定めがなく、これは抜け穴になるんじゃないかと指摘がなされていました。

改正健康増進法「ザル」の目〜喫煙目的室とは何か

で、どうもその通り抜け穴になってしまいかねないようです。

上記の通り、シガーバーが想定され、つまりお酒飲みながらタバコ吸ってるイメージがあったのですが、お酒じゃなくてもコーヒーでも要件満たせばOKだということのようです。

つまり、通常主食と認められる食事(米飯類、パン類、麺類、ピザ、お好み焼きなど)を主として提供する場合以外であれば、「喫煙目的施設」として、なんでもやり放題ということになりかねません。(それも「主として」ですから、「主」じゃないと言い張れば主食も出せてしまうのでしょうか?)

この先、喫煙目的の抹茶カフェ、喫煙目的のケーキ屋、喫煙目的のダーツバー、喫煙目的のライヴハウス、「喫煙をする場所を提供することを主たる目的」だと言い張れば、なんでもアリになっちゃうような気がしないでもありません。

なお、上記の通りタバコの対面販売(出張販売を含む)をすることが要件になっているようですが、運営会社に電話確認したところ、対面販売を行っているのはうち1店だけのようです。電話口に出た人が要領を得なかったのですが、おそらく他の店舗は出張販売という形態を採っているのではないでしょうか。その出張販売というのも頻度は不明です。たとえば1ヶ月に1度行くだけで出張販売の要件を満たすとしていたら、いくらでも要件を骨抜きにできます。

もちろん、
・店内全体において20歳未満立入禁止(お客も従業員も)
・店の出入口に掲示が必要(20歳未満立入禁止等)
・喫煙専用室であることは、広告宣伝にあたり表示する義務があり
といった規制はあります。

ただ、例外であるはずの喫煙目的施設が、無限定に拡散してしまいかねないという状況はいかがなものかと思います。

改正健康増進法の目的は、望まない受動喫煙が生じないようにすることということにありますが、喫煙者の封じ込めによってこれを達成するという考えであれば、「喫煙目的施設」がいくら広がろうが、その中に封じ込められている限り構わないのかもしれません。
しかし、「国民の健康の増進の総合的な推進」を法の第1条に掲げている以上、とにかく封じ込めさえすればよいという考え方は、首肯しかねるところです。

※「喫煙目的施設」内に設置された「喫煙をすることができる場所」が「喫煙目的室」になります。

藤原 唯人(ふじわらただと)

本サイト作成者 弁護士 藤原 唯人 (ふじわら ただと)

プロフィールはこちら

兵庫県弁護士会所属(2000年登録)
神戸パートナーズ法律事務所
(神戸市中央区)にて執務
http://www.kobepartners.net/
日本タバコフリー学会会員