2021.8.24

厚生労働省の「令和2年 労働安全衛生調査」について

厚生労働省が「令和2年 労働安全衛生調査」を発表しました。

こちら

これは,事業所が行っている安全衛生管理,労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス,受動喫煙等の実態について把握し,今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料とすることを目的とするものです。

事業所調査(pdf)のうち,受動喫煙防止対策のところを見てみましょう。

令和2年といえば,その4月1日に改正健康増進法が施行された年です。
この令和2年の状況ですが,平成30年当時(つまりたった2年前)と比べて,
屋外を含めて敷地内禁煙とした事業所が,13.7%から30.0%に増えました。
また屋内を前面禁煙として屋外喫煙所を設置している事業所も,38.8%から46.7%に増えています。
これは法改正の影響が顕著に出ているのでしょう。特に敷地内禁煙の割合がめざましいです。
屋内に喫煙専用室を設置している事業所は,35.6%から18.8%に減りました。これは法改正のみならずコロナ禍の影響も大きいと思います。

その結果,個人に対する調査(pdf)においても,
令和2年は,平成30年当時と比べて,
職場で受動喫煙があると答えた人の割合が,28.9%から20.1%に減り,職場で受動喫煙がないと答えた人の割合が,70.1%から78.3%に増えました。
こちらも法改正の影響が出ていると思いますが,もう少し劇的な変化があるのかなと思っていました。

もう少し深読みしましょう。
事業者の調査のうち,既存特定飲食提供施設に関して。
これは,2020年4月1日時点で開業済みで,さらに一定規模以下の飲食店を示します。
ここでは,特例で紙巻きタバコを吸いながら飲食することも許容されます(喫煙可能室)。
ただこのアンケート結果に出ているのは,屋内含めた敷地内禁煙が53.5%,屋内禁煙+屋外喫煙所が25.1%,屋内に喫煙専用室を設置が17.3%です。


となると,喫煙可能室を設けているのは,これら以外となり,100%から引くと,4.1%になります。つまり既存特定飲食提供施設について,喫煙可であるのは25軒に1軒というわけです。
感覚的にいかがでしょう。もう少しあるような気もします。

 

また,職場で受動喫煙があると答えた者のうち,深いに感じること,体調が悪くなることがないと答えた者の割合は,20歳未満が81.9%であるのに対し,年齢を追うごとに割合が下がり,60歳以上では52.3%になっています。


つまり,受動喫煙を不快と思うのは,若い人よりも年輩者に多いということです。
20歳未満はそもそも受動喫煙はあってはならない(他の年齢もだけど)としても,この結果は少し意外でした。

藤原 唯人(ふじわらただと)

本サイト作成者 弁護士 藤原 唯人 (ふじわら ただと)

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兵庫県弁護士会所属(2000年登録)
神戸パートナーズ法律事務所
(神戸市中央区)にて執務
http://www.kobepartners.net/
日本タバコフリー学会会員