2019.12.10 お知らせ 改正法について

JTの車内吊り広告について→ 改正健康増進法違反のおそれ

JTが改正健康増進法に関する車内吊り広告を出しました。
飲食店内は原則禁煙であり、喫煙できる例外は4種類に限られるという整理のしかたは、私のオリジナルで、このサイトでも採用しています。
JTともあろうお方が同じ整理のしかたをされるとは(それも4種の並べ方まで同じ)、至極光栄に存じますなw
JTがパクったとは決して申し上げませんが、もしこのサイトを参考にされたのでしたらこの上ない光栄ですw

それはさておき、この吊り広告は大事なポイントが抜けていますね。
「店内は原則禁煙に。」 → その通りです。
「喫煙は、これらの標識を掲げるお店に限られます。」ということで、「これらの標識」を見てみると、惜しいな。
法律で記載を求められる事項が拾い切れていません。

この4種の中でもっとも問題になりうるのは、左から3つめの「喫煙可能店」でしょう。
従来の喫煙可能な飲食店です。

この「喫煙可能店」については、飲食店の「出入口の見やすい場所」に
喫煙可能店であることと併せて、「20歳未満の者の立ち入りが禁止されている旨」が記載されている必要があります(改正健康増進法33条2項、35条2項、附則2条1項)。
よって、「喫煙可能店」において、このJT広告記載の標識が掲示されているだけでは、健康増進法違反になります。

また、「これらの標識を掲げるお店に限られます」と言うからには、どこに掲げるべきかも書いておいてほしかったな。「喫煙可能店」の場合、飲食店の「出入口の見やすい場所」です。

改正健康増進法の眼目のひとつに、飲食店に来るお客に対し、仮にそこが喫煙可能であれば、事前にその旨を告知できるというところにあります。お客は事前に情報を得て選択できるというわけです。
また、20歳未満を受動喫煙被害から守るために、20歳未満は立入禁止である旨を明示する必要があるというのも、改正健康増進法のポイントです。

なお、いちばん右の「喫煙目的店」も飲食店の「出入口の見やすい場所」に同様の掲示が必要ですね。

このJTの広告は、改正健康増進法の大事な趣旨の部分をフォローしきれていない点、残念な内容になっていますね。
原則→4つの例外という、私が整理した方法と同じ整理の仕方を採ったのはいいセンスだったんだけどね。

藤原 唯人(ふじわらただと)

本サイト作成者 弁護士 藤原 唯人 (ふじわら ただと)

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兵庫県弁護士会所属(2000年登録)
神戸パートナーズ法律事務所
(神戸市中央区)にて執務
http://www.kobepartners.net/
日本タバコフリー学会会員